元永定正

1922年三重県に生まれた元永定正は、戦後関西を拠点に活動した前衛グループ「具体美術協会」の主要メンバーとして広く知られています。漫画家を志した後、1940年代後半に美術家へと転身。吉原治良の誘いを受け1955年に具体に参加し、実験的なインスタレーション、パフォーマンス、絵画作品などを生み出しました。1958年頃から、日本画のたらし込み技法にヒントを得て、平に置いたキャンバスの上に複数の色の絵具を流し込んで重ねる絵画を作り始め、大胆で有機的なフォルムとテクスチャーが特徴的な元永の画風が確立されました。1960年代にはヨーロッパや北米で作品を発表し、1966年にレジデンスプログラムで滞在したニューヨークでは、絵具の代わりにエアブラシやアクリルを用いることで、アニメーションやグラフィティーを彷彿とさせるような平面的で現代的な新しいスタイルの絵画を制作しました。1970年代に入ると、版画、舞台美術、絵本など表現の幅を広げ、遊び心とユーモアのある作品は多くの若い世代のアーティストに影響を与えました。1980年代以降も精力的に創作を続け、戦後日本美術の世界的な再評価に伴って国内外で開催された多くの具体関連の展覧会に参加するとともに、1991年と2009年には三重県立美術館で大規模な個展が開催されました。2011年に前立腺がんのため兵庫県にて死去。
Artworks
-
Sadamasa Motonaga, Work, 1963, oil on canvas, 14.0 x 18.0 cm -
Sadamasa Motonaga, Untitled, 1962, oil and small stones on canvas, 24.3 x 33.4 cm -
Sadamasa Motonaga, Orange Light, 1985, synthetic resin paint and acrylic color on canvas, 33.3 x 24.2 cm -
Sadamasa Motonaga, Flying Five, 1973, acrylic on canvas, 41.0 x 31.5 cm