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草間彌生

  • 2018/05/25-2018/09/01
  • Tokyo
  • 草間彌生 / Flower Garden

Yayoi Kusama Flower Garden at MMG Tokyo (3)

本展は、ソフトスカルプチャーを用いた立体作品『Rose Garden』(1998)を中心に「花」というモチーフに焦点をあて、草間彌生の作品における動植物を象った有機的フォルムの表現と、その原点である象徴的神秘主義との関連性を探る。草間の作家人生において大きな転機となる出来事に1957年の単身28歳での渡米があるが、そのきっかけにジョージア・オキーフ(1987-1986)との出会いがあった。渡米に先立って草間がオキーフに手紙を送った話は有名だが、オキーフは1920年代中盤から1950年代にかけて、約200点に及ぶ花の絵を描いている。大胆なクロースアップで切り取られた花のイメージは、身近な植物が持つ造形美を、象徴的で官能的な像として描き出す。また、当時草間はオキーフと並んで注目するアメリカ人作家として、西海岸を中心に活動したマーク・トビー(1890-1976)やモリス・クレイヴス(1910-2001)の名前を挙げており、渡米後最初の活動拠点がシアトルであったことからも、草間と西海岸との親密な関係が伺える。これらパシフィック・ノースウエスト・スクールと呼ばれる作家たちは、身近な動植物を題材に、東洋の水墨画や書道の技法から着想を得た繊細で幻想的な作風を特徴とする。今日あまり知られていないが、西海岸の作家たちは、ポロックをはじめとするアメリカ東海岸の抽象表現主義やヨーロッパのアンフォルメルと並ぶ同時代の西洋美術として当時日本で紹介されていた。1950年代中盤から草間の紙作品にみられる、画材の色や質感のコントラストによって、暗い背景に生物的なモチーフが浮かび上がる構図は、作品に独特の浮遊感と宇宙的な空間の奥行を生み出し、後にニューヨークで誕生するキャンバスのネットペインティングを予兆するとともに、アメリカ西海岸における神秘主義的な表現との関連性を示唆するかのようである。そうした花をはじめとする動植物のモチーフは、1973年の帰国後から今日にかけて草間の作品の中で進化を続ける。具象作品においては、南瓜や蝶といった身近な題材が頻繁に登場し、抽象作品においては、動植物を象った有機的なパターンの反復が多くみられる。中でも、本展の主役である『Rose Garden』(1998)は、群生する突起物から凛と伸びるバラの花が、初期作品を彷彿とさせる神秘的な繊細さと、1960年代のインスタレーションやパフォーマンス作品がもつ挑発的な前衛精神とを兼ね備えている。また、『花園の中のクサマ』(1996)は、非常に珍しくも草間自身が画面に登場するペインティングで、黒の背景に散りばめられた無数の黄色いドットが花園の中心にぽつんと立つクサマを包み込み、平面上に夢幻的な風景を浮かび上がらせる。

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